中学1年 安全ワークショップ 第1回
2016.05.24
本年度も中学1年生では、「あんぜんファンフェアーズ」のみなさんを講師にお迎えし、2クラスごとに「安全ワークショップ」を実施しました。「あんぜんファンフェアーズ」は、防犯活動の専門家・演出家・俳優・ワークショップデザイナーの方々が集まったユニットです。
「安全ワークショップ」は、学校内で過ごす時間や登下校などの時間を、お互いが安心して快適に生活するためには、どのように他者と関われば良いのか、どのようなことが大切なのかを、共に考え、体験的に学ぶプログラムです。このプログラムは本校の教員の意見も取り入れながら、「あんぜんファンフェアーズ」の方々が、本校の中学1年生向けに開発してくださったものです。
プログラムの前半では、生徒たちに「自分だけが快適なのではなくて、皆がほどほどに安全で快適でいられるようにするためには、どのようにすればよいのか」というテーマが投げ掛けられ、その後、短い演劇を観てもらいます。そこでは、三人の若者が無意識のうちに周りの人に迷惑をかけており、「ほどほどに安全で快適」ではなくなってしまっているような場面が演じられました。
演劇を観た後で、登場人物のどこが問題だったのか、登場人物みんなが安全で快適に過ごせるようにするためにはどうすればよかったのか、皆で話し合います。「話に夢中で、周りのことを考えられていない」「友達が注意してあげるべきだった」などの意見が生徒からは寄せられました。
プログラムの後半は体験的な学びの時間で、じゃんけんゲームや仲間集めゲームなどを行います。生徒たちは大いに盛り上がりながらゲームに取り組んでいました。
ゲームの中でどのような体験をしたか振り返ってみると、思い切り動き回っていた人のせいで怖い思いをした、ぶつかられて痛い思いをした、一人になりそうなときに声を掛けてもらえて嬉しかったなどの感想が出てきました。「ゲームに夢中になるあまり周りの人に嫌な思いをさせてしまった」というのは、前半で見た演劇の登場人物たちと同じです。おそらく、仲間たち全員が安全で快適に過ごせる集団の方が良いということは生徒たちも理解していたと思いますが、そのような環境を自分が無意識のうちに、悪気なく壊してしまう可能性があるということを、今回彼らは身をもって体験的に学んだのではないでしょうか。客観的に見ている分には指摘しやすい当たり前のことも、いざ自分のこととなってみると案外気づけないものです。
中学1年生はこれからクラスや部活の友達などと一緒に学校生活を送り、様々なことにチャレンジしていきますが、そんな彼らの生活や活動を良いものとしていくためには、安全で快適な環境づくりが不可欠なのだと思います。
ゲーム中に声を掛けてもらえて嬉しい思いをした人がいたように、誰か不快な思いをしている仲間がいるときには、近くの人がちょっと働きかけてあげるだけで状況はずいぶん変わります。こうした、近くの人同士のちょっとした手助けや気遣いのことを講師の方は「近助の精神」とおっしゃっていましたが、まさに、この「近助の精神」を生徒一人ひとりが持つことが、良い集団作りの鍵になっていくのかなと思いました。今回の安全ワークショップでの体験がきっかけとなって、中学1年がより良い学年となっていってくれればと願っています。
最後になりますが、講師を務めてくださった「あんぜんファンフェアーズ」のみなさんに、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。